渥美よしき渥美よしき

質問事項1、命を守る南海トラフ巨大地震への対策について質問します。自治体の第一使命は、市民の命を守ることです。行政学者である今井照教授は、以下のように言います。「自治体の存在価値を1つだけ挙げろと言われれば、躊躇なく市民の命と安全を守ることだと言えます。逆に言うと、いざというときに、市民の命や安全を守れないのであれば、自治体に値しない」以上。防災で取り組むべき範囲はとても広いですが、何より重要なことは、守れる命を守ることです。今回は、自治体の第一使命である市民の命を守ることに的を絞って、南海トラフ巨大地震への対策について質問をいたします。

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1、菊川市の被害想定と被害への対応能力について質問します。菊川市の南海トラフ巨大地震の被害想定は、静岡県第4次地震被害想定によると、最悪の場合、建物倒壊による死者300人、重傷者1,600人、軽症者1,700人、自力脱出困難者及び要救助者1,900人、火災200棟です。以上の被害想定に対する菊川市の見解を伺います。また、以上の行政、消防、医療組織では対応しきれないような被害についての、命を守る対策を伺います。

長谷川市長長谷川市長

最初に、1問目の命を守る南海トラフ巨大地震への対策についてのご質問にお答えします。1つ目の被害想定に対する市の見解と行政、消防、医療組織では対応しきれない被害への対策についてですが、南海トラフ地震に対しては、甚大なる被害が想定されており、過去の被害を教訓に様々な対策を行う必要があります。市消防本部や消防団だけでは、対応が困難となる災害が発生した場合には、静岡県消防相互応援協定に基づき、県内の消防本部に応援要請を行います。さらに応援が必要であると判断した場合は、県外の緊急消防援助隊に応援を要請します。また、応援要請に関係なく、即時応援都道府県として割り当てられている、青森県、岩手県、山形県及び埼玉県の4県の緊急消防援助隊が、静岡県内で災害活動することが南海トラフ地震における緊急消防援助隊アクションプランで策定されています。災害救護病院である菊川市立総合病院では、静岡県医療救護計画に基づき、医療救護対象者のトリアージや中等症患者及び重症患者の受入れを行います。さらに必要に応じ、対応が困難な重症患者を中東遠総合医療センター等へ広域医療搬送を行い、連携して対応してまいります。また、静岡県医療救護計画では、大型ヘリコプターを使用した広域的な医療搬送等の体制も構築されております。しかしながら、過去の大規模災害時においては、公助だけでは市民の生命・財産を守ることには限界があります。市としましては、自助としては家具を固定し、けがを防ぐ、ブレーカを落とし通電火災を防ぐなど、自身や大切な家族を守る備えを、また、道路などが遮断される中、消防や医療活動が十分に行えない場面においては近所や自治会などで助け合う共助による救助や応急活動が必要であると考えております。今後も引き続き、防災活動の基本である自助、共助、公助により市民の生命、身体及び財産を守ってまいります。

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2、次に、建物倒壊について質問をいたします。昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅のうち、木造住宅耐震補強事業と菊川市耐震シェルター整備事業の、どちらも未着手のものは何件あるか伺います。また、対象住宅や未着手住宅の情報は、消防署などと情報共有されているか伺います。

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2つ目の木造住宅耐震補強事業と耐震シェルター整備事業のどちらも未着手の件数は、消防署などと情報共有されているかについてですが、旧耐震基準の昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅のうち、住宅耐震補強事業と菊川市耐震シェルター整備事業のどちらも未着手のものは、令和3年9月末時点で3,954戸となっております。消防本部では、地震等の災害によって広範囲に被災した場合、倒壊しやすい建物に限らず、119番通報などで現場の特定や被災状況を確認し、活動することとなります。そのために、木造やRC等の建物の倒壊を想定した救出訓練や密集地などにおける火災対応マニュアルを策定しておりますので、木造住宅耐震補強の情報共有は実施しておりません。

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3、菊川市家具転倒防止事業について。これまで何件着手したか伺います。また、着手件数を増加させるために、申請の簡略化、具体的には、希望の有無など最小限の内容での申請を可とすることなど必要と考えますが、方針を伺います。

長谷川市長長谷川市長

3つ目の家具転倒防止事業に何件着手したか、申請の簡略化等の方針についてですが、家具転倒防止事業についての実施状況につきましては、平成15年度から令和2年度までに1,210世帯に対し施工しております。本年度においては、29世帯の申請を頂いており、建築組合の方に現場を確認していただき金具の設置を順次進めております。申請書につきましては、補助対象となる65歳以上の高齢者のみの世帯に対しては、郵送での受付をしており、来庁していただかなくても良いように配慮しております。また、施工に当たっても電話での聞き取りを行うなど、申請者の負担軽減に努めております。

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4、福祉避難所について質問をいたします。菊川市福祉避難所設置・運営マニュアルについて、周知状況とマニュアルに基づいた訓練の実施状況を伺います。

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4つ目の菊川市福祉避難所設置・運営マニュアルの周知状況と訓練の実施状況についてですが、マニュアルは、福祉避難所の設置や初動、運営について必要な事項を記したものとなりますので、平成28年3月のマニュアル策定時に、福祉避難所として指定された全10施設へ配付し、設置や運営方法についての周知は完了しております。また、マニュアルに基づく訓練につきましては、毎年9月には市と社会福祉法人等が共同して、全ての福祉避難所の被災状況確認などを行う初期対応訓練を実施し、12月の地域防災訓練時には、年度ごとに対象施設を変えながら福祉避難所開設訓練を行っております。

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5、今年の5月に福祉避難所の確保・運営ガイドラインの改訂が行われました。主な改訂内容は、事前に受入れ対象者の調整を行い、直接避難を促進する、一般避難所についても、要配慮者スペースの確保等、必要な支援をする、緊急防災災害事業債等を活用した指定福祉避難所の機能強化などです。ガイドラインの主な改訂内容3点について、菊川市の今後の取組方針を伺います。

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5つ目の福祉避難所の確保運営ガイドラインの主な改正3点への取組方針はについてですが、事前の受入対象者の調整につきましては、今後に策定を予定している避難支援プランの中で、事前に福祉避難所への受入対象者を特定することに係る課題等についての検討を行い、その方法について定めていく予定です。一般避難所の要配慮者スペースの確保等につきましては、菊川市避難所運営マニュアルに定める避難所を運営するための基本方針において、要配慮者には必要に応じて優先順位をつけ、個別に対応することとなっております。緊急防災・災害事業債等を活用した指定福祉避難所の機能強化につきましては、避難路や電源設備等のかさ上げなどが対象となり、対象事業が計画された時点で適切に対応してまいります。

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6、次に、災害時要支援者について質問いたします。避難行動要支援者名簿の登録者は何名か伺います。また、地震発生時の要支援者支援は、具体的にどのように行われるか伺います。

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6つ目の避難行動要支援者名簿の登録者数と地震発生時の要支援者支援についてですが、名簿登録者数は、令和3年11月末時点で2,965人となっております。災害に関する情報は、同報無線や市SNS等を活用し発信するとともに、地震発生時の支援としましては、地域での避難支援として、自主防災会等へ、要支援者の避難が必要な場合の誘導協力等をお願いしております。

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7、災害時の避難支援プランの策定について。要支援者全員を確実に支援できるような取組を望みますが、要支援者支援の現状の課題を伺います。また、その課題を解決するために、支援プランをどのような方針で作成し、どのように支援体制を組み立てていくか伺います。

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7つ目の要支援者支援の課題と支援プランの作成方針、支援体制についてですが、課題は、要支援者の避難をサポートする人を確実に確保しておくことであると考えます。そのため、今後に策定する避難支援プランにおいては、市とともに市社会福祉協議会や社会福祉法人などの関係機関のほか、自主防災会や民生委員・児童委員など、それぞれの役割等を定めることを検討しております。

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8、要支援者支援の先進事例として、要支援者名簿の地図への落とし込みや支援程度の段階分け、条例制定による情報提供について同意を要しないこととする取組、災害時ボランティアや消防団への情報提供があります。どれも、菊川においても必要な、取り組んでいくべき事例だと考えますが、今後の方針を伺います。

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8つ目の要支援者支援の先進事例への取組方針についてですが、先進事例につきましては、いずれも克服しなければならない課題があるため、今後、避難支援プランの策定を進める中で研究してまいります。

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9、次に、要電源医療機器使用者の電源確保について質問いたします。人口呼吸器や酸素濃縮器など、日常的に生命、身体機能の維持に必要な電気式の医療機器を使用している方への対応として、個別基本計画の策定を条件に非常用電源装置等の助成を行っている自治体もあります。要電源医療機器使用者への対応について、菊川市の今後の方針を伺います。

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9つ目の要電源医療機器使用者への対応方針についてですが、在宅の重度身体障害者や特定疾患医療受給者に対し、現在、菊川市重度身体障害者(児)地震防災用具給付事業実施要綱に基づき、人工呼吸器用非常電源装置の給付事業を行っており、今後も引き続き事業実施してまいります。

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10、浜松市では、今年、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金に非常用自家発電設備設置メニューが追加されたことを受け、高齢者施設などに非常用自家発電設備設置などへの補助金を新たに設定しました。菊川市において、高齢者施設、福祉避難所、一般避難所などの非常用電源確保状況と今後の方針を伺います。

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10個目の高齢者施設などの非常電源確保状況と今後の方針についてですが、高齢者施設では、入所施設8か所のうち7か所に非常用自家発電設備が整備されております。福祉避難所では、10か所のうち5か所に発電機が配備されております。また、一般避難所の27か所全てに発電機と蓄電池を配備しております。今後の方針としては、高齢者施設の防災対策では、引き続き、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金を活用した施設整備などのハード事業のほか、新型コロナウイルス等の感染症対策や有事の際であっても必要なサービスが継続できるよう、事業継続計画の策定など、ソフト事業も含めて、介護事業者への情報提供や周知に努めてまいります。福祉避難所、一般避難所については、県の地震津波対策等減災交付金などを活用しながら、必要な箇所には計画的に配備を進めてまいります。

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南海トラフ巨大地震では、地域の組織である行政、消防、医療だけでは太刀打ちできません。ご答弁でも、そのような答弁ありました。 しかし、私が申し上げたいのは、命を守るということにおいては、行政が責任を持って、守れる命を全て守る、そのような覚悟を持って命を守る防災に取り組んでいただきたいということです。要支援者の救助、瓦礫の下からの救出、重傷者の病院搬送、トリアージなど、誰がするのか、本当にできるのか、できなければどうするのか、そのような視点で、組織の動きではなくて、命を守るために必要な人手と作業を考えていただきたいです。 当然、行政の力だけでは対応しきれません。 私たち市民自身が自分の周りを助けるために動くこと、これが何よりも重要です。 私たち市民も、有事の際にできることはやりたいという強い気持ちがあります。 菊川市行政にお願いしたいことは、市民が有事の際に、地域の命を守るために何ができるのか、分かりやすく示していただき、巨大地震の大混乱の中でも市民が力を合わせて命を守る、そのような仕組みづくり、土台づくりをしていただきたいということです。 そのような仕組みづくり、土台づくりについて、方針を伺います。

担当職員担当職員

危機管理部長です。 先ほど市長の答弁でもありましたが、渥美議員も今お話しされたように、行政だけでは大規模災害についての限界があります。このため、市としましても、地域との連携ということを重要視しております。その中で、命を守る防災活動を進めていく仕組みとして、1つは共助として、各小学校単位で、これ11地区あるんですが、地区防災連絡会というのを組織させていただいています。 それから、それに123の自主防災会がありますので、その組織と連携を取って、先ほど言った命を守ることもそうですが、様々な課題に取り組んでいく内容となっております。 それから、この組織の仕組みの中で、活動としてはこの間地域防災訓練がありましたが、ああいう訓練とか研修会、それから各自主防災会で備蓄品もありますので、そういう備蓄の整備についても日頃から行っております。それから、地区においても、子ども達の防災合宿などといって、様々な独自の活動を行っているところがあります。 先ほどのご質問にありましたが、主として土台づくりというところになってくるんですが、市民の方に自助、共助への理解や防災活動に参加していただくための、今、防災講演会や、それから出前講座を実施しております。 講習会や出前講座についても、幅広く市民の方に参加していただくということが必要ですので、今年からなのですが、親子の体験型の防災ワークショップということをやらせていただきました。これは夏休みに、要は、対象者をいつも役員の方とかそういう方だけではなくて、子どもや父兄の方にも分かっていただきたいということで新たな試みをさせていただいております。このように今後も引き続き、市民の皆さまや関係機関と連携を図る中で防災活動を行ってまいりたいと考えております。

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4番 渥美です。 答弁にありました子どもや父兄に対してのアプローチということなのですけれども、やはり、若い世代、体力のある若い人が有事の際に動けるような、そのような取り組みをしていっていただきたいと思います。  次に、質問事項1の4、5について質問します。 福祉避難所については、利用されると想定される皆さんの声に寄り添って、ご意見を十分に取り入れて、実効性のある福祉避難所の構築を着実に進めていただきたいと思います。また、同時に、必要とされている方に情報が届くように、福祉避難所の存在を広く周知していただきたいとも思いますが、その方針を伺います。

担当職員担当職員

健康福祉部長でございます。 今、ご質問いただきました福祉避難所につきましては、菊川市の地域防災計画の中におきまして、定期的な訓練実施、それから災害発生時には円滑に福祉避難所が設置運営できるように、また、福祉避難所の目的、それからルール等を周知するということが定められておりますので、要配慮者、それからそのご家族に対して周知をすることにつきましては、今後も適切に実行していきたいと、そのように考えております。

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質問事項1の6、7、8に関する再質問です。 要支援者の支援について。防災については、自助、共助、公助ということがよく言われ、答弁でもおっしゃってました。 大規模災害時は、公助だけでは太刀打ちできないため、市民による自助、共助が大前提となります。 これも繰り返しになりますが、その中でも、命や健康のリスクが高い要支援者の皆さんを助けるこの仕組みづくり、これに関しては市民の力だけではなかなか難しい。ですので、この仕組みづくりは、菊川市行政の皆さんの手腕にかかっていると思っております。 その仕組みづくりの先に、市民の力による共助があるのだと思います。 大規模災害時、要支援者の皆さんを助けたい市民の方、たくさんいらっしゃると思います。そのような方々が、要支援者の皆さんを確実に迅速に自律的に助けられる要支援者名簿の活用の仕組みをつくっていただきたいと思います。その方針を伺います。

担当職員担当職員

健康福祉部長でございます。 まず、議員が今ご提案されたことを、より具体化、具現化していくために、今後策定するプランにあるというように考えています。 で、プランにおきましては、要支援者の方への防災情報の伝達手段、それから伝達体制の整備かつ避難誘導等につきまして、より実効性を高めていくために策定をしたいと思っています。 市民お一人おひとりの自助、また地域の助け合いや支え合いによる共助、それから市、消防、それから警察等の公的機関によります公助に基づく支援体制をしっかり構築して、プランの策定を進めていきたいと、今、そのように考えております。